作るって、面白い

高校生の頃、父親がホームセンターで板を買ってきては、トイレの棚や廊下の物置きなんかを作っていた時期があって、簡単なんだけどずいぶん感じのいい物ができるんだな、と思っていた。板を切って、面取りして、オイルステインで塗装して、木目を残してふき取ってしまえば塗りムラもない。

そうか、買ってもいいんだけど、作ってもいいんだよな、と思ったのはこれが最初だった気がする。

地元で暮らし始めて、時々自分たちでイベントをするようになり、ちょこちょこと木工をすることが出てきた。単純なものなのだけれど、売ってないし売っていても高かったりする。

すぐ裏には森がどこまでも広がっていて、当たり前だけどそこには山ほど木があるんだけど、材料として使うには切り出して製材しなければならない。こんなに身近だけど、遠いなぁ。板や柱って、すごい手間がかかってるんだな。これ、何とか使えないかな。

同じことを考えている人はやっぱりいて、大工さんに作ってもらったのがこの「マルシェテント」。

ホームセンターのテントが好きじゃなくて、せっかくなら木製で、地元の材料で作れないかな、と3年くらい考えて試行錯誤。試作のためにホームセンターで買った道具や材料代は10万円を超えると思う(笑)。伊那谷のアカマツで作ったテント。

ちなみに、両脇のバーカウンターは仲間のお父さんの作業場にあったヒノキを曳いた板で、みんなで面取りをして、そこに生えていた椿の実から油を搾り、オイルフィニッシュしたもの。

自宅のシンボルツリーだったイチョウの木が大きくなりすぎ、泣く泣く伐採したときに出た幹を製材してもらって、厚さ3センチのカウンターになりそうな板が13枚も取れた。1寸あたり1年乾かすそうで、桟積みという干し方で風に当てておくそうだ。

これは当分材料には困らない。

町内の古民家には大量の木材が保存されていて、捨ててしまうと聞いて見始めると、密度の高い硬い木、柔らかく軽い木、様々な用途で使い分けられるように保存されている。何十年も乾かしてあり、ねじれもない。これは財産なんじゃないだろうか。

しばらくの間、仕事前の早朝に通っては材料を運び出す日が続く。早くしないと捨てられてしまう。これ、かっこいいんじゃないかな。

何を作ろうかな、これで。

少しづつ、道具も揃ってきた。(これは借り物)

大学当時の友達が、自宅の改装をDIYでしているのに影響を受け、道具や技術、塗装などいろんな情報をもらう。

親父に材料を分けたら、さっそくかっこいいスペースを作っていた。ゼロからでもいいのだけれど、今あるものを生かして、どう使うか、どう自分の欲しいものに再編集するか、ということに惹かれる。

冒頭のリースのベースは、山からつるを採ってきてぐるぐる巻いたもの。それに杉の葉を差し込んで、グリーンリースの完成。

作り方を一度習って、あとはどんどんアレンジする。自分でできるようになると、欲しいものにより近づける。

近所に大きなクルミの木があって、毎年たくさん実がなる。今年は子供と収穫して乾かした。食べるのもいいのだけれど、クルミの身を叩き潰すとクルミオイルがでて、木製品をオイルフィニッシュできるのだ。塗料もこれでいいな。

地元にあるものを見回して、自分たちが欲しいものを作る、欲しいカタチに関係を作り直すような、そんな楽しい工作、ものづくり。

LOCALSTYLE WORKS をそんな風に考えてみました。

2020年、工房をスタートします!